大聖院

太田道灌の山吹の伝承で知られる女性の紅皿のお墓を管理されているお寺です。
立派な文書も伝わっているのですが…旧別当である同じ敷地内にある西向天神社のほうがはるかに繁栄しています。
現在の大聖院はご覧のように民家と一体化し、インターホンを押しても御朱印等の受け付けはしていないとの事でした。

紅皿のお墓と、檀家さんからの収入だよりで経営している印象を受けました。
お賽銭箱に5円玉を投げ入れましたが、帰ってきた音も寂しかったです。

太田道灌の山吹の伝承がある地はここ以外にもあり、埋もれた道灌伝説の一つを現代に微かに伝えています。

しかし、仏教界としては、太田道灌と紅皿のエピソードは、仏教者としてあまりにも有名で先日亡くなった瀬戸内寂聴さんの言う『恋と革命』として重要なのではないかと思います。
恋をしたら相手に好かれるように努力をして自らを磨く『革命』をしなければならない、というのが寂聴さんの弁でしたが、果せるかな、幼少期に父親の道真に反論してやり込めた道灌の秀才ぶりは、紅皿との出会いから歌道に打ち込み、人から愛され、人心を掌握するユーモアなどを身に付けていき、永享・享徳の乱を見事に戦い抜いたのです。
例え実らぬ恋でも或いは自覚されぬ恋でも、人はそこから学び、成長し、大きなことを成し遂げることが出来る。

太田道灌と紅皿の伝承は今に通じる人生の通過儀礼の一つを象徴していると私は思っています。

いつも人が居なくて、ねこだけが居る静かなお寺です。